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活動レポート

医療活動 

『赤ちゃんの、心臓マッサージ』

2017.12.05

スォースダイ(こんにちは)!
 
毎月の母親学級は変わらず続いています。
シナリオや発表資料のスライドは日本人助産師が作ったものですが、カンボジア人助産師が自分たちで母親学級のお知らせのチラシを作り、事前にシナリオの内容を理解して母親学級の講師を務めてくれています。初めのころは、彼女たちは通訳として日本人助産師と一緒に母親学級をやっていましたが、徐々に自立してできるようになっています。何より、その生き生きとした表情に、色々な思いが込み上げ、毎度泣きそうになってしまいます(笑)。
今後は、彼女たち自身でシナリオや資料作成までできたらいいな・・と思っています。

菊地さん.jpg日々の嬉しい出来事がある一方、最近気持ちが重く感じる日々が続いています。
ここ数か月で、連携している現地病院で分娩した赤ちゃんが2人、亡くなりました。
 
 正常分娩は元々ここでお産をやってきた現地病院の助産師が扱い、帝王切開や誘発分娩・管理が必要なお産はAAMCで請け負っています。
 
 現地病院の分娩室の隣に、わたしたちが部屋をひとつ間借りしている妊婦健診室、さらにその隣に現地病院助産師の詰所があります。
 ある日呼ばれて分娩室に行くと、空調のきいた寒い部屋に濡れたままのタオルの上に寝かされた青白い赤ちゃん。視界の隅でもう娩出された胎盤を確認しました。「これは産まれてから結構時間経ってるかも。」と思い、赤ちゃんの心拍を確認しながら尋ねると、やはり既に産まれて10分弱経過しているとのこと。赤ちゃんの心拍は聞こえません。非常に厳しい状況です。
 
 赤ちゃん用の聴診器もバックバルブマスク(人工呼吸をするためのマスク)もないため、ゴム吸引機で羊水を吸われた後ひたすら皮膚刺激をされ、大人用の鼻につける酸素吸入のチューブが無理やり赤ちゃんの小さな鼻に押し込まれていました。現地病院の医師(産科医は現地病院にいない)と現地助産師がそんな赤ちゃんを取り囲んでいました。
 こういう状況は初めてではなく、いつも新生児用聴診器とバックバルブマスクは妊婦健診室に置いていつでも持っていけるようにしています。直ぐに現地助産師に声をかけ、心臓マッサージと人工呼吸を開始しました。「1・2・3、バック!」と心臓マッサージと人工呼吸のタイミングを言っても、そのリズムにすら乗れず全くダメダメな蘇生。苛立ちと焦りが出ます。新人ではダメだとベテランの助産師に代わってもらいますがやっぱりダメ。自分の手が4本欲しいと本気で思いました。数分の蘇生で赤ちゃんの心拍が聞こえ始めました。先月からAAMCに来てくださった小児科医の嘉数先生も直ぐに駆けつけ、AAMCへ運びます。AAMCと現地病院の間の土地は、現在工事中。簡易の連絡路は雨が降ればグチャグチャになってしまうデコボコな土の道。赤ちゃんを抱っこしながらその道を通ります。以前より少し回り道しなければならず、足場の悪さも相まってさらに遠く感じます。
 その後、AAMCで挿管をし、人工呼吸器のある小児病院へ搬送しましたが、翌日に亡くなったそうです。

菊地さん2.jpg妊婦健診室でもっとできることがあったのでは、直ぐに適切な蘇生ができていれば・・悔しさが込み上げます。救えたはずの小さな命が手から零れ落ちていくのを、止めることができない。そういう救えるはずの命を助けたいと思ってわたしは助産師になってここまでやってきたんじゃないのか。何のためにここにいるんだろうか。あの2500gの小さな赤ちゃんは、もういない。妊婦健診室で聞いたあの子の心臓の音と、青白い体に触れた冷たい感覚がふと蘇ります。
『あの子が生きられなかった今日を、わたしは今生きている。』
泣いていても仕方がない。怒っていても仕方がない。泣く暇さえなかった開院当初の数か月。かなり感情的で感覚的なわたしですが、「泣いてる暇があったら何か考えて行動を起こさなきゃ」とカンボジアに来て思うように変わった気がします。
カンボジアの医療の、周産期の現実を、まざまざと見せつけられている毎日。自分で自分を奮い立たせながら今日もここにいます。

カンボジア駐在助産師 Minami Kikuchi.

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