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医療活動 

赤ちゃんパワー

2017.02.07

スォースダイ!

カンボジア駐在助産師の菊地南です。


日本では寒さの厳しい2月、カンボジアは朝晩涼しい日もありますが日中の日差しは相変わらず強いです。


ひとりで田舎の病院に滞在する旅も終わり、再びAAMCに戻って早1ヵ月が経ちました。吉岡先生が来られて行われる手術ミッションもあり、クリスマスも年末もお正月も忙しく通り過ぎ、気づけば2月です。

先月末に再び行われた吉岡先生の手術ミッションの患者さんたちであふれていたAAMCも、最近は穏やかさを取り戻しつつあります。元気になって家に帰る患者さんたちを見送る毎日です。


カンボジアのもっとディープなお産事情を知りたくてひとり田舎の病院に滞在してきたわたしですが、そこで見たり聞いたり体験したものは嬉しいものばかりではありませんでした。これまでAAMCであったお産や、田舎の病院でみてきたお産。「もっと早い段階でこの妊婦さんに出会いたかった」と悔しい思いをすることが多々ありました。妊婦健診や産後の母児のケアと指導の大切さを改めて感じたのです。でも、妊婦健診に一度も来ずに陣痛が来て初めて病院に駆け込むようなお母さんたちに、妊娠期に出会うのは至難の業です。お産を終えたタイミングなら、お母さんたちに確実に会うことができる。多産なこの国の女性たち。次の妊娠の時は、妊婦健診に来てほしい。この赤ちゃんの弟か妹が将来無事に産まれて、お母さんもずっと子どもたちの傍にいられるように。

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今、AAMCの産科事業は新スタートを迎えています。AAMCの同敷地内の現地病院と一緒に、妊婦健診や産褥新生児管理を進めていこうとしているところです。現地の助産師さんたちとお母さんたちに妊婦健診や産後のケアの大切さを本当に理解してもらうには、きっとまだまだ時間がかかります。でも、諦めずに気長にやっていこうと思っています。久しぶりにAAMCに赤ちゃんの泣き声が響き、患者さんも患者さんの家族もスタッフみんなの顔も笑顔になります。赤ちゃんをお風呂に入れていると、気づけば赤ちゃんの泣き声を聞いたたくさんの人たちの人だかりが・・・。
IMG_3587 (1).JPGみんな笑顔です。赤ちゃんの持つパワーはすごいな、と改めて思いながら、わたし自身も赤ちゃんにメロメロでした。



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赤ちゃんの持つパワーのお話をもうひとつ。

先日、お腹の中で亡くなった赤ちゃんと出会いました。お母さんはとても穏やかな人で、痛い処置にも陣痛にも静かに耐えていました。赤ちゃんは大体4~5ヵ月くらいの大きさなので、普通のお産と同じように陣痛に耐え、下から赤ちゃんを産まなくてはいけません。入院して数日後、赤ちゃんは静かに、生まれてきてくれました。わたし達が予想していたよりも大きく、とってもきれいな赤ちゃんでした。産声の聞こえない静かなお産。産まれたばかりの赤ちゃんはとっても温かいのですが、受け止めた手の中で赤ちゃんはどんどん温かさを失っていきます。この時間、わたしはいつも、赤ちゃんが確かに生きていたことと亡くなったことを、肌を通して感じます。

 赤ちゃんをきれいにして、両親の元へ連れていきました。指のきれいな赤ちゃんで、わたしがそれを褒めると、お父さんはしっかりと赤ちゃんを見つめて「きれいだね」と言っていました。わたしにはそれが、娘を褒められて誇らしげなお父さんと、お父さんに褒められて嬉しそうな娘の姿に映りました。

自分自身や自分の周りにいる人がこうして生きていることの奇跡や、産まれてきた赤ちゃんが元気に泣いてくれることがどれだけ幸運なことなのか、命の大切さを改めて教えられた気がします。


産科や助産師と聞くと、赤ちゃんの誕生を迎えるハッピーな仕事と思われがちですが、時には赤ちゃんの死というとても悲しい場面にも立ち会わねばなりません。でも、どちらの場面に立ち会っても、‘命‘についていつも考えさせられます。

何度立ち会っても感動し、何年経っても忘れないお産があります。

赤ちゃんがいるだけで、病院の雰囲気が温かくなり、

赤ちゃんがいるだけで、みんなが笑顔になり、

赤ちゃんの誕生が、たくさんの人の心を動かします。




カンボジア駐在助産師 Minami Kikuchi

 

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