特定非営利活動法人ジャパンハート

カンボジア

お問合わせ・資料.請求

文字サイズ

ジャパンハート特設サイト

×閉じる

活動レポート

医療活動 

アルコール綿の裏側から...日々の処置で感じること (小児科医:押谷より)

2018.09.22

こんにちは。

カンボジアJapan Heart 長期小児科医師の押谷です。
 

今日は日々の診療をしてふと思ったことを少し

病院で点滴や採血をする時、針を刺す前には必ずアルコール綿で刺す部位の皮膚を拭いて清潔にしてから処置されますよね。

あの、すーっとするやつです。針を刺される前のあの感覚。病院嫌いな人は匂いだけで耐えられないって人いるかもしれません。

これは実は処置前の大事な行為です。

皮膚には常にたくさんのばい菌います。点滴の針を留置するということは、実はこのばい菌さんがうじゃうじゃいる野原(皮膚)と、清潔な血管内にハシゴをかけているようなものなのです。

血管の中にばい菌が入ることを菌血症といいますが、これは命に関わる重症な病気です。栄養豊富な血液の中にばい菌が入ると増殖し、血流に乗って身体中を駆け巡ります。

点滴を入れるということは実はこんな大変なリスクを背負っているのです。

もちろん、通常の状態であれば多少の菌は自分の免疫で倒すことができますし、短期間の点滴から重症な菌血症になることはめったにありません。

しかし、小児がんで化学療法後の免疫が低下している患者さんや、長期点滴が必要な赤ちゃんなどは、一見なんともないような点滴ラインからの菌血症で命を落とすことがあります。

僕らは、毎日、何人もの子供達に注射や点滴をします。その前にアルコールで皮膚を拭く時にいつもびっくりすることがあります。

 

アルコール綿がすぐに真っ黒になる。
アルコール綿.jpeg

 

ほとんどの子供達がアルコール綿で皮膚を拭くとすぐに汚れて真っ黒になってしまいます。

日本ではこのようなことはめったにありませんでした。

治療で行うはずの点滴が、重症感染症の原因とならないように丹念に何度も拭きますがなかなか綺麗にはなりません。

 

またある時は手術前にも同様のことがありました。皮膚にメスを入れる部分は清潔でなければなりません。ここが清潔でないと、術後に創部感染がおこり、傷もなかなか治りません。せっかく手術をしてもその傷口から重症感染症になってしまうこともあります。

この術後感染を低下させることは手術を成功させる上でとても重要な要素です。

しかし、術前のアルコール消毒でも皮膚からぼろぼろとゴミが出てきてしまうこともしばしば。

そのため、特定の手術の前には手術部位を毎日洗うためだけに、わざわざ手術日の4,5日前に入院してもらい毎日洗い続けるといった工夫もしています。

 

これにはいろんな理由があると思います。

舗装などされていない道が多く、常に砂煙がまっていること、常に高温な環境なので汗などの分泌も多いでしょう。

田舎道を一人で歩いていて、ふと民家を見ると、子供達が屋外の水瓶から水を汲んで気持ちよさそうに桶で頭から水をかけて水浴びをしています。きっと現地の子供達のお風呂はこのスタイルなんだろうなぁ石鹸を使って体をゴシゴシ洗うということは少ないのかもしれません。
水浴び子ども.png

 

カンボジアのような十分でない衛生環境であるからこそ、様々な感染症を防ぐためには、手を洗う、体を清潔に保つといった日頃の意識づけや習慣が非常に大切。そんなことを毎日の点滴をとるという処置から痛切に感じさせられます。
 

この、最も大切で初歩的ではありますが、なかなか根付くのが難しい手洗いや皮膚衛生の意識づけ。
今回、JAPAN HEARTカンボジアではJapan Heart Handwashing Projecというイベントを企画します。予防医学とエンターテイメントを掛け合わせることでカンボジアの人々により届きやすい形で伝えようと試みます。

このイベントを通じて少しでもカンボジアの人々の習慣や意識の中に皮膚を清潔に保つことの大切さが染み込んでいけば...感染症で苦しむ人も減ってくるはずです。


<予防医療×エンターテインメント> Japan Heart Handwashing Project ~カンボジアに予防医療を広めるプロジェクト~の応援はこちら
https://fanfare.medica.co.jp/funding/projects/japanheart/


お問合わせ

お問合わせフォーム

ジャパンハートに関する
お問合わせはこちらから

ジャパンハート東京事務局
Tel: 03-6240-1564